妊娠・出産・新生児育児で私が感じていたことをすべて言葉にしてもらった!川上未映子「きみは赤ちゃん」【読書感想】

川上未映子「きみは赤ちゃん」を読んだ感想です。

あらすじ

(BOOKデータベースより)

35歳で初めての出産。それは試練の連続だった!つわり、マタニティーブルー、分娩の壮絶な苦しみ、産後クライシス、仕事と育児の両立…出産という大事業で誰もが直面することを、芥川賞作家の観察眼で克明に描き、多くの共感と感動を呼んだ異色エッセイが待望の文庫化。号泣して、爆笑して、命の愛おしさを感じる一冊。

心にに残った言葉

このまんまるのおなかのなかには赤ちゃんがいるのだ。そして、わたしはこの子に会うのだ。会いたいのだ。あたりまえのことなんだけど、そう思うと、どこからともなく泣きたいような、思いきり笑いたいような、そんなよくわからないけどちからとしかいいようのないものが、たしかに湧いてくるのだった。
わかります。妊娠中って女性の体にはたくさんの変化が起こり、心も不安定になります。
そんな中、「よくわからないけどちからとしかいいようのないもの」が湧いてくる感じはたしかにありました。当時の私にはそれが何かわからなかったけど、川上さんのおかげで「ちから」だったんだと気づかされました。
 
きみに会うことができて、本当にうれしい。自分が生まれてきたことに意味なんてないしいらないけど、でもわたしはきみに会うために生まれてきたんじゃないかと思うくらいに、きみに会えて本当にうれしい。
そう!そうなんです!!と声を大にして言いたい。
十月十日、会いたいと思いながら文字通り一心同体で過ごし、悩んだり不安になったり心配したりもしたけど、結局は「きみに会えてうれしい」で胸が満たされるんです。
 
たしかに眠ってなくてほぼ限界だし気絶するほど眠いけど、でもこの時間この子のこの顔をみつめているのはたったいまここにいるわたしだけで、世界中に、いまここにしかない時間なのだ。
これは産後のお話ですね。
赤ちゃんの育児中は本当に眠れません。私自身も話には聞いていたけど想像以上でした。
そんなつらい中でもふたりっきりで我が子を見つめる時間というのはかけがえのないものだったと思い出せます。
 
小さなオニ(息子のこと。おにぎりみたいだから、とのこと。)を胸に抱いて、小さく息をしながら眠るオニの顔をみながら、こんなしあわせがあったのだと、ほんとうにしあわせだと、心の底から思ったこと。どうか、どうかなにも終わりませんように。
これは最後の一文に涙してしまいました。
どうか、どうかなにも終わりませんように。
 

感想

読み始めてすぐ、大好きな1冊になってしまいました。

妊娠、出産、新生児育児でわたしが感じていたことをすべて言葉にしてもらった気がします。

つらかったことも、しあわせなことも、我が子に対する思い、夫に、自分の母に対する思いも。

共通点が多いからなのか、たまたまなのか、とても共感できることばかりでした。

この本は多くの人の共感を集めているので、経験者は皆通ずるところがあるのでしょうか。

妊娠中の方、出産・育児経験者にはもちろんオススメですが、男性にもオススメしたいです。

夫婦の危機についてや、男の役割、なんかについても書かれていますし、すべての女性がそうとは限らないけど、妊産婦の感情や心の中をのぞけます。

あらすじにもありますが「号泣して、爆笑して、命の愛おしさを感じる一冊」まさにその通りです。

絶対また読み返したい1冊でした。

夢中度★★★★★

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